轻松读懂日语经典作品
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ひのついたかかと
火のついた踵
宮本 百合子
「中央公論」中央公論社、1922(大正11)年9月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 16,781 字 · 34 页
生きている間じゅう、苦しまなければならないのが、人間だ。与えられた杯なら、飲まなければならない。
英一 どうぞ、貴方もみさ子さんも傷つけるようなことはなさらないで下さい。――実際、僕は、何もみさ子さんまで……
奥平 ――(陰気に光った眼で、じろりと、臆病な英一の顔を見る)
突然、背後の植込みの蔭から、甲高く、はっきり、
みさ子の声 いやよ!
奥平、英一、思わずぎょっとするところへ、みさ子、足早に出て来る。二人を見、
みさ子 まあ、貴方もいらしったの?(嬉しそうに、奥平の方によって行く。)
直ぐ後から、谷、両手をポケットに入れ、眉を顰めて来る。
英一 (意を迎えるように)どうだね。いい花があったかい?
谷 (英一を見、奥平を見、鋭く)花なんかないよ。昔話だ!(さっさと一人で通り過ぎようとする)
英一、不決断について行こうとする。その時、ただならない奥平の声が、彼を振返らせる。
奥平 (近づくみさ子を避けるように、二三歩動きながら)――私に構わず置いてくれ!
みさ子、驚き、良人、英一、谷と、順に顔を見る。英一、頭を動してその視線を避け、見向きもせずに彼方に行く谷の後から、救いを得(もと)めるように、蹤(つ)いて行ってしまう。