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かせいたんけん

火星探険

海野 十三

「サイエンス」1945(昭和20)年12月~1946(昭和21)年11月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 77,522 字 · 155 页

青空文庫

「愉快だね。え、あの青いのは太平洋だね。カリフォルニアの海岸線が、あんなにうつくしく見えている」

山木は、誰よりも一番元気がいい。

「僕は、一度飛行機に乗ってみたいと思っていたが、空を飛ぶっていいもんだねえ」

ネッドは、窓枠に頬杖をついて、緑色がかった絨毯のような下界を飽かず眺めている。

張は無言。河合は鉛筆を握って、手帖に何かしきりに書きこんでいる。

「やっ、星が見えるぞ、あそこに……昼間だっていうのに星が見えらあ」

山木がおどろいて、指を高く上に伸ばした。すると今まで黙っていた河合が、手帖から目をはなして、「そうだとも。このあたりは成層圏だからねえ。僕の計算によると、もう高度は十五キロぐらいになっているはずだ」

「成層圏! いつの間に成層圏へはいったんだか、気がつかなかったよ」

「これからますます空は暗くなるから星が見える。だんだん星の数がふえる」

「ほう、神秘な国」

張が感嘆の声を放った。

「ああ下界があんなにぼんやり霞んで来ちゃったよ。ああ、地球が消えて行く」

ネッドが、泣き声になった。

しかし地球は消えはしなかった。ただ地球の陸や河や海の境界がだんだんぼんやりしてきて、地形が分らなくなった。