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かせいたんけん
火星探険
海野 十三
「サイエンス」1945(昭和20)年12月~1946(昭和21)年11月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 77,522 字 · 155 页
楽しい時間が過ぎていった。
会がいよいよ終りに近づいたとき、デニー老博士が立上った。そして重大発言をしたのであった。
「さて諸君。諸君の美しい協力と、不撓不屈の努力とによって、本艇の故障は遂に直ったのであるが、この先、本艇はどんな航路を選ぶべきか、それを只今から諸君に相談したい。それには二つの途がある。一つは地球へ引返すこと、もう一つはこの際火星まで行ってしまうことである。どっちを諸君は望むであろうか」
そういって博士は、一同の顔をぐるっと見まわした。しかし誰も何もいわなかった。
「現在の本艇の位置は、地球と火星とを結ぶ航路の約三分の二を既に突破している。つまりあと三分の一航行すれば火星につくのである。なお、燃料はどっちにしても十分ある。これは本館――いや本艇に予期以上の燃料が蓄えてあったことがわかったので、この点では心配ないと思う。食糧は燃料ほど十分ではなく、いっぱいいっぱいの程度である。だから火星へ直行する場合は、これから当分のうち少し減食しなければならないと思う」
「火星へ行きましょう」
「賛成、ここまで来たんだから火星へ行ってみたい」
「どうせわれわれは火星探険協会員だから、火星へ向って苦労するのは元より覚悟の上です。