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かやくせん
火薬船
海野 十三
「大日本青年」(「浪立つ極東航路」のタイトルで。)
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 61,552 字 · 124 页
「ポーニンが、金儲けだけに、うき身をやつしているとは思われませんねえ。イギリス大使からの内報をよんでも、単に、それだけの人物とはおもえない」
席上では、誰も、ポーニンが、今目さきの敏い商売だけをやっているものとは信じない。
「おい、モロ警部。報告材料は、もうこれで、おしまいなのか。想いの外、すくないじゃないか」
長官は、モロの方に不満そうなかおをむけた。
「ああ長官閣下。じつは、もう一人、報告をしてくるはずの者がいるのですが、とうとうこの時間に間にあいませんでした。すみませんです」
「もう一人というと、誰のことだ」
「は、それは……」
といっているところへ、卓上の電話が、じりじりとなりだした。
警部モロは、発条じかけの人形のように、その受話器にとびついた。
「――なんだ、なんだ。ポーニンが、しきりに船をさがしているって、汽船を買いたいといっているのか。うむ、そいつは、すばらしいニュースだ」
警部モロは、電話で相手とはなしながら、長官アンドレ大佐に、仰々しい目配せをした。
セメント問答
怪人物ポーニン氏の行動は、もはやそのままに見のがす事はできなかった。