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はいいろのあねとももいろのいもうと
灰色の姉と桃色の妹
小川 未明
「愛国婦人 470号」1921(大正10)年6月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 3,817 字 · 8 页
」と、姉はいいました。
「姉さん、なぜ私は、あなたのもとへ帰ってこなければならないのですか。私は、それがわからないのです。私は、かってなところへいきます。そして、もうけっして、あなたのもとへ帰ってはきません。あなたは私とは、まったく性質が合わないじゃありませんか。」と、妹は答えた。
「いえ、それはなりません。たとえ、おまえがどこへいっても、私は、おまえを探し出します。隠れても、逃げても、それはだめです。私はおまえがどこにいるか、じきに探し出すことができる。」と、姉がいった。
なんという執念深い姉だろうと、妹は、そのとき慄えあがらずにはいられませんでした。
生まれつき快活な妹も、姉のあることを思ったときには、唄うこともいつか曇らざるを得なかったのである。
姉は白い花の咲く木の下で、なにか深く、耳を澄まして考えていました。そのとき、妹は、そんなこととは知らずに、熱心に銀の棒を動かしていた。
広野を越えてかなたには、町がありました。
そっちからは、たえずにぎやかな物音が、かすかに空を流れてきこえてきました。
妹は、それに耳を傾けていたが、立ち上がりました。