轻松读懂日语经典作品
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ほのおのなかにうたう
焔の中に歌う
野村 胡堂
「文芸倶楽部」1928(昭和3)年10月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 13,476 字 · 27 页
二
は幾人もありはしません。パトロン、音楽批評家、新聞記者なんて、そりゃ随分気障よ。アンコールに何を歌ったかもわからない癖に、一ぱし音楽通の顔をして、発声法がどうの、フランス語の発音が斯うのと言うんですもの、そんな化物とばかり付き合ってると、たまには、あなたのような、純な学生さんとこう気楽にお話をして居たくもなるワ。あなたは、音楽なんか解るような顔はしないでしょうネ、後生だから、あれだけは止して頂戴ね、音楽は味わうもの、感ずるもので、あんな具合に、知ったかぶりをして、果し眼で理窟をこね廻すものではありません、――大変な気焔でしょう、つい私は、こんな事を言い度くなるほど、エライ人方に悩まされ抜いて居るんです」
二
小間使の持って来た飲み物というのは、コーヒーや紅茶ではなくて思いもよらぬ珍酒の数々でした。
「お酒だけは上等よ――女のくせに、随分でしょう、でも私は沢山はいけないの、これでも歌い手ですから、いくら自堕落なようでも、喉を大事にすることだけは知ってるワ。そうそう貴方はまだ丁年未満ネ、お酒はいけないんでしたネ、だけど、目を廻して直ったばかりのホヤホヤなんだから、お薬に頂く分には構わないでしょう、少しやって見ましょうよ、気付けに、このコニャックは、そりゃ素的よ……」