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むもうだん
無毛談
――横山泰三にさゝぐ――
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 8,319 字 · 17 页
そんなに気になるもんですか。ふうむ」
と、急に敬語などを使って、区別を立てゝみせる。卑怯である。三十九のくせに、三十代。バカ云え。なにも十で区切らなければならないという規則はない。二十五から三十五、四十五。
「アハハ。そんなのないよ」
なにが、ないことがあるものか。なんでも、ある。彼等はバカである。論理性がないのである。二十五で区切る。二十五から五十まで。みろ、みんな、一しょじゃないか。
然し、先日、街で三人の知りあいのパンパン嬢にあい、ゴハンたべさして、と云うので、食堂へ行く。パンパン嬢、お礼の寸志か、私の髪をくしけずってくれる。半年以上も床屋へ行かず、自分でハサミできってるという頭で、クシなど使うタメシのない頭だから、かんべんしてくれ、と云っても、嘘だと思ってとりあわない。三人で私の頭をオモチャにして、そして口うるさいガサツ娘が、三人ながら、ハゲのハの字も言わなかった。ハゲているのが当然というお見立てによるのであろうが、これは、深刻なものである。
名古屋医大へハゲ退治にでかけるという泰三画伯は、つまり、人生がまだ花であるというシルシであろう。オヤ、ハゲましたね、などゝ言われるうちは花なのである。