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むもうだん

無毛談

坂口 安吾

――横山泰三にさゝぐ――

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 8,319 字 · 17 页

青空文庫

私のところには二人ねるだけのフトンしかないのである。だから、お客様を一人しかとめられない。

先日、酔っ払って、このことを忘れて、横山隆一、泰三の御兄弟を深夜の拙宅へ案内した。気がついた時は、もう、おそい。もっとも、兄弟だから、いゝようなものだ。第一、こんなにバカバカしく仲のよい兄弟というものは天下無類で、それに二人合せたって一人前ぐらいの容積しかないのだから、よかろうというものだ。

カゼをひかせちゃ、こまるから、コタツをいれようと云うと、ダメなんだ、弟の奴、子供の時から寝相がわるく、なんでも蹴とばすから、火事になる、と兄貴が仰有る。

御兄弟、上衣をぬいで、ワイシャツをぬぐ。すると、ちゃんと、パジャマをきていらっしゃる。シキイをまたげば、いつ、どこへ泊るか分らないから、タシナミ、敬服すべきものがあった。

御兄弟、ベレをかぶっていらっしゃる。さて、おやすみという時にも、そろってベレをおとりにならぬ。これもタシナミの存するところで、御兄弟、若年にして、毛が薄い。

この心境は、悲痛である。私もよく分るのだ。なぜなら、私も亦、若年にして、毛が薄かった。

横山兄弟のは額からハゲあがっている。