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えんとつとやなぎ
煙突と柳
小川 未明
「芸術自由教育」1921(大正10)年3月
N3 · 进阶 · 新字新假名 · 3,104 字 · 7 页
冬の晴れた日のことであります。太陽は、いつになく機嫌のいい顔を見せました。下界のどんなものでも、太陽のこの機嫌のいい顔を見たものは、みんな、気持ちがはればれとして喜ばないものはなかったのであります。
太陽は、だれに対しても差別なく、いつでも、喜んで話し相手になったからであります。ちょうどこのとき、太陽は、ちょろちょろと、白い煙をあげている煙突に向かって、
「このごろは、なかなかお忙しいようだが、おもしろいことがありますか。」と、にこやかに笑って、太陽は聞きました。
煙突は、いつもは、黙って、陰気な顔をしてふさいでいたのですが、このときばかりは、なんとなく、うれしそうにはしゃいでいました。
「おかげさまで、このごろは、毎日おもしろいめをしています。ほんとうに、私は、しあわせでございます。」と、煙突は答えました。
「どんなおもしろいことか、聞かしてくれないか。」と、太陽はいいました。すると、煙突は、つぎのような意味のことをば物語ったのであります。
――ほんとうに私は、どんなに寂しかったかしれない。長い間、みんなは私を振り向いて見てくれるものもなかったのです。