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つばくろ(つばくろ)
燕(つばくろ)
山本 周五郎
「オール読物」文藝春秋新社、1960(昭和35)年10月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 25,395 字 · 52 页
主人と客(四)
若侍たちが、わっと歓声をあげながら、二人のほうへ集まって来た。
主人と客(四)
渡貫は卓のまわりを廻りながら、その平面や、太い脚部を撫でてみた。他の三人は脇に立って、渡貫の動作を眺めていた。
「これは浄閑院さまの御下賜だったな」と渡貫は云った、「あのころのおれたちには使わせてもらえなかった、いつかいちどは、この食卓でゆっくり食事がしたいと思ったものだ」
「このがんどうは見たことがないな」と梶本が云った、「まえからあったのかね」
「やはり浄閑院さまから賜わったものだ」と又左衛門が答えた、「私は祖父から聞いたのだが、この卓も舷燈も、――これは船の舷門に掛けるものだそうだが、どちらもオランダ船の船長から浄閑院さまに贈られ、のちに私の祖父が頂戴したという話だった」
「あの殿はよほど西洋のものがお好きだったらしいな」と庄野が云った、「江戸の本邸にも、ギヤマンの鉢や杯が幾組かしまってあるし、オランダ語で注のある海図とか、袂鉄炮とか、それに古い葡萄酒まで残っていたよ」
「飲んでみたか」と梶本が訊いた。
「いや」と庄野は首を振った、「浄閑院さまの御遺品には手をつけない