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ばくやくのはなかご
爆薬の花籠
海野 十三
「少女倶楽部」1940(昭和15)年6月~1941(昭和16)年6月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 101,908 字 · 204 页
(だが、ひょっとしたら、あれではないかしら)
房枝の胸は、それを考えついたとき、まるで早鐘のように鳴りだした。
ああ、あの花籠だ! あれこそ爆薬入りの花籠ではなかったか? おそろしかった雷洋丸事件の当時のことが、今更にありありと思いだされた。房枝は、そばにニーナ嬢が立っていることも忘れて、
「ああ、きっとあれだ!」と、こぶしを握って叫んだ。
ああ、惨事の後
房枝は、ニーナたちのとめるのをふりきって邸を出た。それは一刻もはやく、城南の惨事のあとへいって、団員たちの様子を見たいためだった。
房枝が、停留場の方へかけだしていくあとから、ニーナが追ってきた。
「もしもし房枝さん。あたくし、あなたを自動車で送ってさしあげます。自動車で、スピードを出すのが一等早く、向こうへつきます」
それから、二十数分後に、城南の曲馬団の惨事のある附近まできた。
「ニーナ嬢、すぐかえりますか」
と、自動車を運転してきたワイコフ医師がいった。
「いいえ、もうすこし、ここにいます。あたくし、房枝さんのこと、心配です」
「では、ここに自動車をおいておくのはまずいから、例のホテルへ車をまわしておきますよ」