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ばくやくのはなかご

爆薬の花籠

海野 十三

「少女倶楽部」1940(昭和15)年6月~1941(昭和16)年6月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 101,908 字 · 204 页

青空文庫

各新聞紙は、争うようにして、花の慰問団の写真をのせた。

そのときカメラの焦点は、つねに一人の明朗な、はつらつたる美少女に合わされていた。その少女こそ、ほかならぬ房枝であったのである。

花の慰問隊の少女たちは、はじめのうちは、数十名にすぎなかった。そして一日に、三、四箇所の工場をまわるにすぎなかったが、新聞や、ラジオでこのことが伝わると、日毎に参加の隊員がふえてきて、一週間たつかたたないうちに、隊員の少女たちは、三百余名という多数となった。

房枝は、いつとなしに、花の慰問隊長にあげられていた。

ニーナは、房枝の後援者であった。いや、もっとはっきりいうと、はじめから、この花の慰問隊をつくるのに力を入れていたのであった。しかしニーナのことは、どの新聞にも出なかった。それは全くふしぎなくらいであった。

だが、その理由は、ニーナと房枝との間に、かたい約束があったからである。即ち、慰問隊の結成は、すべて房枝がいい出したことにしておくことと、それからもう一つ、花の慰問隊のことを聞いて、ある富豪が、名前をかくしてかなりたくさんな金を、慰問隊のために寄附したこと、この二つのことを、ニーナは房枝にまもるように約束したのであった。