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ばくやくのはなかご

爆薬の花籠

海野 十三

「少女倶楽部」1940(昭和15)年6月~1941(昭和16)年6月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 101,908 字 · 204 页

青空文庫

「房枝さん、あんたは、とうとう本気でおこってしまったようだね。はははは」

と、彼は口の中で、つぶやくようにいった。なぜか彼の顔からは、近頃のあのいたましいかげが急に取れ、その目は希望にかがやいていた。

花の慰問隊

それから一週間ほどしてのことだったが、都下の新聞やラジオのニュースによって、

「増産運動・花の慰問隊」

という風がわりな慰問隊が結成せられたことが伝えられ、国民をたいへんに感激させた。

その「花の慰問隊」というのは、うつくしい少女たちの集りで、そのうつくしい少女が、これはまた更にうつくしい花束をもって、東京にあるたくさんの生産工場その他を訪問し、朝から晩まで、機械と共働きをしている男女職工さんたちをなぐさめようというのであった。この「花の慰問隊」の訪問をうけた工場では、そこで働いている職工さんたちが、どんなに喜ぶかしれない。その結果、仕事の方もどんどんはかがいって、かならずいつもよりは、たくさんの品物ができることであろう。つまり花の慰問隊は、増産運動までをやろうというのであった。

この「花の慰問隊」結成のことは、ニュースがひろがっただけでも、たいへんなよい反響があった。