轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
ばくやくのはなかご
爆薬の花籠
海野 十三
「少女倶楽部」1940(昭和15)年6月~1941(昭和16)年6月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 101,908 字 · 204 页
そうなると、車が横になって、車内に一人の紳士が、よほどいそがしいと見えて、新聞をひろげて読んでいるのが見えた。
房枝は、にくらしげに、その自動車の行方を見つめていた。
「あら、あの自動車、あの工場へ入っていったわ」
房枝は、一大発見でもしたように、思わず声をたてた。だが、工場の玄関の前にとまったその自動車の中から、新聞をたたみながら降り立った紳士が、まさか房枝の会いたく思っている青年探偵帆村荘六であることには、気がつかなかった。なぜといって、二人の間にはかなりの距離があったのである。
もしも、あのとき、房枝が道の方に背を向けていなかったら、また、帆村荘六が、車内で新聞などを読んでいなかったら、二人のうちのどっちかが、
(おお、房枝さんだ)
(あら、帆村さん!)
と、こえをかけたであろうものを、運命の神は、時に、このようにいじわるなものである。
黒川は、どこまでいったのか、なかなか房枝のところへは帰ってこなかった。
「どうしたんでしょうね、新団長は」
房枝が、すこし不安になって、あたりを、きょろきょろ見まわしていると、そのとき、向こうの方から、一台の三輪車が、いきおいよく、こっちへ向けてはしってきた。