轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

ちちのてちょう

父の手帳

宮本 百合子

「中條精一郎」(追悼録)、国民美術協会、1937(昭和12)年1月発行

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 6,342 字 · 13 页

青空文庫

父が自分の空想の小さいはけ口としてその音楽堂の素描を私にまで見せたりした、その望みは十何年か前から既に心に潜んでいたものであったのかと、特に当時は父が大してすきでもなかった文部省の小役人であったとしてみれば、一層この実現したかしないか分らないデッサンにしたしみを覚えます。

この父の手帳は、それから相当の頁がブランクで続きます。

何程か経ってから小住宅のプランが三つ四つ出て来て、さて、私共にとって実に見落せない数頁が現れます。明治四十一年二月の日附で「曾禰達蔵氏ト共ニ左記ノ処ニ事務所ヲ開始シ公私ノ依頼ニ応ジ専心建築工事ノ設計監督ニ従事仕候間此段御披露申上候。敬具」云々と初めて八重洲町に事務所をこしらえた前後の様子が相当こまかにのこされているのです。四十一歳になった壮年の父の心の中では、この手帳がブランクであった時期、どのような計画と決心との過程が経験されたことでしょう。

事務所開始のよろこび、用意というようなものが手帳の面に溢れています。新聞へのせるための広告文、発表すべき新聞名、電話加入手続、名刺の草稿、事務所規約の下書、会計上の諸件。この項によって、私たちは子供時代の記憶の中に鮮やかなあの仲通りの赤煉瓦建ての事務所が、「折半出資」