轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

ぎゅうにゅうとうま

牛乳と馬

豊島 与志雄

「思索」1949(昭和24)年11月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 12,248 字 · 25 页

青空文庫

また時には、その中の一人だけに雷が落ちて、側の者はみな助かったこともあるとか。沼の真中に落ちる雷はひどく、ダイナマイトを投げ込んだよりも大きな音がして、魚類がみなぷかぷか浮き上るとか。

今朝ほど雷の話をしたことを思い出して、わたしはお姉さまの方に笑いかけたが、はっと息をのんだ。お姉さまの顔に、氷のような冷たいものが感ぜられた。わたしの視線を受けて、お姉さまは冷酷なほど澄んだ声で御言った。

「お母さまも、秋子さんも、ちょっと席を外して下さいませんか。わたし、小野田さんに伺いたいことがありますから。」

なにか逆らい難いものがあった。お母さまもそうお感じなさったに違いない。わたし達は黙って眼の中を見合った。それから小野田さんを見ると、不敵なという感じで、庭の方に眼をやり、唇の隅をかんでいる。

「では、ちょっとの間ね。」

お母さまはなにか慌てていらして、立ち上りなさった。わたしもそれに随った。お姉さまは脇息にがっくりもたれかかって、眼だけできっと睥んでいらした。

お母さまとわたしは茶の間に退いた。へんに体が震えた。大きく息がつけない気持ちだった。お座敷の方は、声も物音もしなかった。