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カラスキーしのゆうじょう

犂氏の友情

久生 十蘭

「オール讀物」1939(昭和14)年12月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 13,312 字 · 27 页

青空文庫

なア、禿頭、そういうことなら、ちょいとウマイ話があるから一口乗せてやろうか。とんでもなくウマイ話なんだぜ。そこで、わたしが、けっこうだねえ、といった。……はなはだ怪しからんことですが、この辺のことは、ああいう社会では、いわば日常の挨拶のようなもので、こんなことをいちいち気にしていたんじゃ、ああいう区域には一日だって住んでいられない、わたしにすれば、そういうつもりだった。ところが、ゴイゴロフのほうは、ひどく乗気になって、じつは、ちょっとした経緯があって、おまえのようなもっともらしい顔をした禿茶瓶の相棒がひとり欲しかったんだ。おまえにその気があるんなら、いい割をくれてやる。どうだ、はっきりしたところをぬかせ。わたしは、顔に、ちょっとこう凄味をつけましてねえ、ニヤッと笑ってみせたんです。だいぶむかしのことですが、高等学校で、シェークスピアの『アントニーとクレオパトラ』の英語劇を演ったとき、わたしはクレオパトラを演じまして全校を悩殺したことがあるんだから、そういうほうには少々心得があるのです。……さて、そういう凄い顔をして、わたしがいったい何を言ったと思います。