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はんにん
犯人
「群像 第八巻第一号」1953(昭和28)年1月1日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 12,695 字 · 26 页
風は泣いてる
ひとりもの
風よ 風よ どこへ行くのよ
東の山に突き当り
西の山にすりむかれ
西も東もくらくなり
風よ
何も見えないよ
ああどこへ行くのよ
学校は欠席がちだが、仁吉は読み書きが達者であった。彼が涙ぐんで唄ったのは、自作の詩であった。それが新聞にのっていた。
人見はそれを読んでいたく感動した。花井は去年の六年の受持であったから、仁吉に教えたわけだ。彼は花井に会って、仁吉という少年の生い立ちや性質を訊きたいと思った。世間が取沙汰しているのは、仁吉の表面的なものにすぎないと思ったからだ。
けれども、彼は思いだした。この事件以来、花井は彼に対して妙によそよそしかった。路上で行き会ったときには、曲りようもない田舎道だというのに、細いアゼ道へムリに曲りこんだこともあった。
まさか彼が犯人ではあるまいが、あの断言を怖れているのかと人見は思った。そして彼も花井の顔を見るのが気の毒で、彼の方もとッさに顔をそむけるような始末であった。
ところが、その晩のことである。毛里という県都の新聞の特派記者が訪ねてきた。そしてその晩行われた一問一答は、やがて新聞に次のように報ぜられた。