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どくしん
独身
「スバル」1910(明治43)年1月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 9,012 字 · 19 页
僕は神慮に称っていると見えて、富田に馳走をせいと云う託宣があるのだ。」
「怪しい女だね」と戸川が嘴を容れた。
「なに。御馳走になるから云うのではないが、なかなか好い細君だよ。入院している子供は皆懐いている。好く世話をして遣るそうだ。ただおりおり御託宣があるのだ。」
寧国寺さんは、主人と顔を見合せて、不断の微笑を浮べて聞いていたが、「お休なさい」と云って、ついと起った。見送りに立つ暇もない。
この坊さんはいつでも飄然として来て飄然として去るのである。
風の音がひゅうと云う。竹が薬缶を持って、急須に湯を差しに来て、「上はすっかり晴れました」と云った。
「もうお互に帰ろうじゃないか」と戸川が云った。
富田は幅の広い顔に幅の広い笑を見せた。「ところが、まだなかなか帰られないよ。独身生活を berufsmaessig に遣っている先生の退却した迹で、最後の突撃を加えなけりゃあならないからな。箕村だってそうだ。僕は何故にお稲荷さんが、特に女中をしていたお梅さんを抜擢したかということまで、神慮に立ち入って究めることは敢てしない。しかし兎に角第二の細君が直ぐに出来たのは、箕村のために幸福であった。