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ねこりょうり

猫料理

村松 梢風

「あまカラ 10月号 第八十六号」甘辛社、1958(昭和33)年10月5日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 2,034 字 · 4 页

青空文庫

それに卵の黄身、牛乳は欠かさず、ビフテキ、レバーなども時々やる。カツオ節もかいてやる。飯へかけるのでなく、カツブシだけ食べるのだ。四寸ぐらいの小アジを裂いて無塩で天日で三時間ぐらい干したのを金網で骨のほうから骨がコンガリこげるまで焼いたのを、猫も好むが人間が食べてもすてきに旨い。時々東京から上客が来るとお相伴をさせてやる。頭から骨ぐるみ食べるのだ。

さし身しか食べない奴があるかと思うと、小アジしか食べないのもある。何でも満遍なく食べるのもある。猫は習慣性が強くて、同じ小アジでも鎌倉の海から上がったばかりのを食べなれているから、どうかして東京湾の方でとれたやつをやっても決して食べない。マグロのさし身でも少しでも鮮度の落ちたのだと匂いをかいだだけでプイと向うへ行ってしまう。人間のようにもったいないとか我慢して食うということは絶対にしない。

朝夕二回魚屋が私の家へ運ぶ魚の量は大変なものだ。さし身でも何人前かを、人間の場合と同じようにツマからワサビまでつけ飾り立てて持ってくる。家じゅうどの部屋にも猫の椅子、高いヤグラ、籠などがあって、紫チリメンや、ドンスの大座布団が据えてあるし、砂箱は至るところにあって毎日その砂を取り替えるから、月に一度大トラックで海浜の清潔な砂を運んできて、帰りに古い砂を持ち去る。