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さるこぞう

猿小僧

萠円山人

「九州日報」1920(大正9)年1月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 5,635 字 · 12 页

青空文庫

と評議していると云うのであった。

これを聞くと猿共は、赤い顔が青くなる程驚いていろいろ相談をしたが、何しろ喧嘩ずくでは狼に敵わないから一層の事、狼に喰い殺されないうちにここを逃げ出して、他の所にいい住居を探そうという事に決めた。けれども小僧はこれを押し止めて、猿共を皆洞穴の中に隠して入り口を塞いで、自分一人森の外に出て狼の来るのを待っていた。

狼はとうとう或る夜やって来た。その数は何千か何万かわからぬ程ヒシヒシと猿の都を取り巻いて、先ず一時に鬨の声を挙げて大波の打つように攻め寄せて来た。けれども小僧は驚かなかった。狼が近寄ると、小僧は懐から燧石を出して森の外の枯れ草に火を放けた。すると折りから吹いて来た烈しい夜風に誘われて、見るうちに焼け広がって轟々と音を立てながら狼の方に吹きかかって行った。そのために深い草の中に居た狼共は皆焼け死んだ。死なないものも火の勢いに恐れてチリチリバラバラに逃げ失せた。その後狼共は又と再びこの猿の都に攻め寄せて来なかった。それから猿共は王様を始め皆、小僧を神様のように恐れ敬って、毎日いろいろな美味しい果物を捧げて、何でも云う事を聞くようになった。