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さるこぞう

猿小僧

萠円山人

「九州日報」1920(大正9)年1月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 5,635 字 · 12 页

青空文庫

「ウン。取られたければ取ってやらん事もないが、一体何だってそんなに肝が要らなくなったんだ」

「私は今までこの山奥の猿の都に居たんです。そして猿共と一所に木登りをするけれども、木から木へ飛び移ったり綱渡りをするのが恐ろしくて恐ろしくて、どうしても猿共に敵わないんです。ですから猿の王様にそのわけを聞くと、王様が云うには、人間の肝は猿の肝より小さいからそんなにビクビクするのだ。俺は今七八ツ程肝を仕舞って、時々出して洗濯しているが、欲しければ新しいのを一つ遣ろう。その代り今持っているのを棄ててしまえというのです。けれども私はどうしたら肝を出していいか分らないから、誰か肝を取る事の上手な人に頼もうと思ってここまで来たところです。丁度いいから取って下さい」

「ハハハハ。貴様は馬鹿だな」

「馬鹿じゃありません。本当に頼むんです」

「ウン、そんなら取ってやろう。その代り少し痛いからじっとしていなくちゃ駄目だぞ」

「痛い位驚きません」

「よし。こちらへ来い」

と云って、親分は一本の大きな樹の下に連れて行った。小僧はその幹によりかかって、胸を開いて、

「さあ取って下さい」

と云いながら突き出した。