轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
ごくちゅうへのてがみ
獄中への手紙
宮本 百合子
11 一九四四年(昭和十九年)
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 174,521 字 · 344 页
わたしなんかメタボリンの注射していて、この位だのに。やっともっているという程度ですから。ことしの夏は誰にとってもしのぎがたいでしょうが、おなかのわるいのは実にいけません。苦しさが夏向きでないのに、大体いつも夏ね、何と残念でしょう。どうか呉々お大事に。いろんなことをおまかせして安心していられる細君は仕合せな者と云うべきでしょうが、病気まで病気している人におまかせしなければならないとなると妙な工合よ、ひどく妙な工合よ。奇妙な疲れかたをいたします。
十二日づけのお手紙、金曜日頂きました。家のこと、一寸申しあげたように、気がねなんかする理由はありません。ただわたしとすると、いかにもそちらが御苦労さまで、はい、と自分だけ腰が上らないわけだったのです。田舎へなんかは、ね。国男さんは、東京の郊外なんか意味ない、自分は開成山へ行っちゃう、と云って居りましたから。これからの生活は大したものですから、新しくわたし一人でどこかで生活こしらえることなんか迚も無理です。疎開者向ねだんが発生するのは世界共通らしくて。食糧の問題も極めて深刻です。〔中略〕「風に散りぬ」の中の一八六三年頃、あれね。