轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
ごくちゅうへのてがみ
獄中への手紙
宮本 百合子
11 一九四四年(昭和十九年)
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 174,521 字 · 344 页
子にとって親ほど良医はないし、わたしにとっての名医があるというのはありがたいありがたいことです。
やっぱり終りまで書きつづけられませんでした。きょうは日当番で、ヒマの種集めをして町会へ届ける用が出来て、其をやって戻り、この机に向ったら犬が吠え、庭木戸から女の人が入って来て、見れば犬を抱いて居ります。先月の六日頃、手術をしに医者へあずけたところ、工合がわるくて二度目にあずけてあったのを、お医者の家で疎開するので返しに来てくれたのでした。元気のいい雌犬だったのに、可愛想にすっかり衰えてしまいました。犬なんて、人工的に断種したりして、気の毒ね、全く。
うちの主人は仔犬をきらいなの、実際困りもするけれ共。それでそんなことにしたのですが、失敗よ。果して冬が越せるでしょうか。わたしのように、自然なのがすきな者にとって、辛いことです。人間のおかげで、こんなに貧弱にされ、寿命も短くなってしまった犬を見るのは。
きょうは、一つチャンスをつかんで、夕方迄に風呂をたこうと決心して居ります。この間うちから思いつづけて居りますが、折がなくて。余り風呂に入れないと却って風邪がぬけません。