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ごくちゅうへのてがみ
獄中への手紙
宮本 百合子
12 一九四五年(昭和二十年)
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 120,583 字 · 240 页
[自注14]五月二十一日――千葉県長者町に暮している妹寿江のところに行ったときの手紙。
五月二十六日 〔巣鴨拘置所の顕治宛 駒込林町より(封書)〕
五月二十四日
昨夜は、そちらの方角はおさわりなかったと存じます。それでもおやすみになれなかったことは同様でしょう。
きのう、うちは、こんな工合だったのよ。先ず話は十九日に逆ります。わたしが帰って来て食堂に坐るや否やO子が、食事がたべられない、体がだるくて臥ていたと立てつづけに訴えます。細君である女が、そういう調子になれば、大体どんなことか想像されるというものですが、わたしはあなたも一つ田舎へ行って来なさい、と云いました。御目出度でないというのなら空襲神経衰弱なのかもしれないから行って来て気分をかえてさっぱりしなさい、と。台所も何も放ったらかしでやり切れなくなっていたし食物のことも変に神経質になっていたからそう申しました。御主人は二十二日に出張し、O子は昨日茨城の実家へ行き一週間は、わたし一人となりました。〔中略〕
ひとりきりは月当番ですし何かのとき危険ですからペンさんが又ひとりもの同様な生活なので用の合間に来るということになり、昨日は二人とも喜んで一緒に過し、田舎行準備の本の小包を十三ヶ発送し、ああなんて御ハンなんだろう! と夕食もすませました。