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ごくちゅうへのてがみ
獄中への手紙
宮本 百合子
12 一九四五年(昭和二十年)
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 120,583 字 · 240 页
国は十九日から七月三日迄滞京。いろいろの重要な用事を順調に果すことが出来ました。いい工合に、その間は東京がすこしひまで壕へ入ることもなかったので、本当に助りました。これでわたしの生活の事務的面が整理され、もうそちらへ行けるようになった次第です。一年か一年半は、気をもまないで休養と勉強とで暮せそうです。往復は不可能ですしここに暮すことはあながちよくもないから、そちらのどこかで暮します、その町か、すこし奥へ入ったところかどこか。面倒でないところで。保護観察所が、札幌の同じ役所へ紹介をくれました。先ずそこへ行って相談してからそちらに行く方がいいのですって。つまらない紛糾をさけるために。地方は人が尠いから目に立つからそうしないといけない由、その通りにいたしましょう。今は特別なときですから。そしてわたしは誰にも触られずに単純に暮したいから。そちらの様子は皆目存じませんからね。わたしとしても参考が必要です。鈴木義男弁護士に札幌の斎藤忠雄という弁護士に紹介を貰いました。この人は土着の人で信望のあつい物わかりよい人の由、相談にのって貰える人のあるのは心づようございます。