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ごくちゅうへのてがみ
獄中への手紙
宮本 百合子
12 一九四五年(昭和二十年)
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 120,583 字 · 240 页
しかし生活費は刻々上騰ですし、わたしはそれこそ大局的に可及的営養をとらなくてはならないしすると、生活費の負担は案外でしょうと思われます。ここの生活はどうやるにしろ、国府津の 280 の内からですから、雑支出を加えて容易でないでしょう。机に向っている時間、何か彼か考えを辿っていられる時間をとろうという計画なのです。国がハガキよこしてね、僕があっちへ行ったら敵機も追っかけてきて初空襲ありとありました。こっちへ暮す期間は益※(二の字点、1-2-22)少いでしょう。あちらはもう雪だそうです。壕が庭でさむいし、子供づれだし、大変でしょう。手伝いがみんないなくなるらしいし。国も良人、父として苦労しているのも薬です。あの健康であの年であの知慧で、ひとからサービスだけされて暮すというのは法外ですものね。おのずから成立いたしません、今の時代には。
きのうの元日はうれしい元日で友達が三人来ました。一組の夫妻、この人は旦那さんが青森へ行くために。もう一人は先日山西省の学術探検から戻った人。いろいろの経験をして来たのですが、一米の間に二発ずつという風な機銃の集注をうけない限り、なかなかゆとりなきゆとりというものもあるものなのね。