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ごくちゅうへのてがみ
獄中への手紙
宮本 百合子
12 一九四五年(昭和二十年)
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 120,583 字 · 240 页
どこで暮すにしろ、天気晴朗の朝、俄然婦徳を発揮するまで、わたしは土いじりと勉強とで過したいと思います。よく
四月十七日
さて、さて。――
この一行の間に、何という変りがあったでしょう。十一日の午後、てっちゃんに会ってから、袋一つもって鷺の宮へゆき十三日は潰されるばかりの電車にのって、あちらからお目にかかりに出ました。
帰って、その晩、あの空襲[自注11]でした。幸その夜うちには、菅谷とその父、よし子の弟、従弟、妹、よし子、わたしという顔ぶれで、この附近の家としては珍しい働き手ぞろいでした。はじめ遠かったのに、いつもここは終りの一時間がピンチね。物見に出ていた男達が壕へかけこんで来て、ソラと出たときはもう裏隣りの有尾さんというところから火の手が出て、次々とうちの左手(門からは右)の一画がやられ、うちはポンプを出しホースの水を物置にジャージャーかけて働きました。いい工合に風がなくて火はおとなしくやがて吹き出した風は東南風で却って団子坂辺の火の粉をけすに気をはりました、不発が落ちました、この手紙のはじめに、雨戸の閉された家々と書いてある、それらの家々はほんの数分間で消え失せました。