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ごくちゅうへのてがみ
獄中への手紙
宮本 百合子
04 一九三七年(昭和十二年)
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 112,810 字 · 225 页
心で一生懸命で手がまだ怠けている。こういう状態を多くの女の芸術家が経ているし、男も70%まではこれで一生を終るのね。
若い女のための本をいろいろ考えていて、私に体がもう一つあったら、本当にいい味と力と鼓舞のこもった女のための本を極めて綜合的な内容で書きたいとさえ思いました。すべてが切りはなされていて婦人問題、医学の問題、法律の問題、ばらばらである。それが一人の女の日常生活のすべての部分にとけこんでいる。一人一人の女が、自分から世の中に働きかける可能をもっている。そういうことを感情から分らせてゆく本が一つもないというのは何たることでしょう。世の中に本は溢れているが、こういうクサビのような本はかかれていない。
笠間さんの随筆は面白うございましたか、第一のを数行一寸見たが、何だか目があらい。
シャルル・フィリップの「ビュビュ・ド・モンパルナス」(これはお手紙で下らなさがわかった)をふとよみかえして、ここに描かれているパリの下級勤人の生活や娼婦の生活に対する作者の心持と、荷風や武麟や丹羽のかく市井風俗との気稟のちがいを感じます。どうして後者の作家らは目先の物象しか見ないでしょう。