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ごくちゅうへのてがみ
獄中への手紙
宮本 百合子
06 一九三九年(昭和十四年)
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 374,755 字 · 745 页
春の魚であるめばるもそんなものを釣っているよりは「稼いだ金で魚買うた方がやすくつく」そうで、めばる売りも来ません。東京の生活の気分と全然ちがう。一体この辺が、何か、目前の金の出入りに気をとられ、何か気分が変っている。躍進地帯ですから。じっくりした気がかけている。人と人との間の空気にそれが及ぼして居ります。ガソリン、タイヤ等、うちは出征家族ですから特別の便宜があって不自由して居りませんそうです。トラックの仕事はありすぎる位の由です。
岩本さんの返事あり次第、私はなるたけ早くお母さんをおつれしてかえりたいと思って居ます。おちついて本をよむということも出来ず、何かそちらの机が恋しい。二十一日に隆ちゃんが出発したら四五日に立ちとうございます。お母さん東京にいらっしゃるならばゆっくりいて頂いていいから。早くかえったって同じですから。(私がこちらを)
私は大変、大変、かわきです。かえって、一週間もおひとり占めにされては決してしわいことを云うのではないけれども、辛いところもある。どうぞよろしく願います。風邪はまだすっかりはよくなりませんが大丈夫ですから御心配なく。