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ごくちゅうへのてがみ
獄中への手紙
宮本 百合子
06 一九三九年(昭和十四年)
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 374,755 字 · 745 页
初めて私たちの家へいらっしゃるわけですから、大いにのんびりおさせ申したいと私は今から忙しい気です。去年の秋野原のお母さんが計らぬことで先鞭をおつけになったから、お母さんも顕さんの家は御覧になりたいでしょう。今は皆が気がしまって居ります。その折お留守はなさりやすいからいい機会でしょう。
野原の土地 320 坪が25ずつで売れ、兼重の 4300 をかえした由。外に 150 坪とかそれ以上とかがあって、それは30ならいつでも売れる由。家屋とその敷地はたっぷりあまって居るわけです。富ちゃんのお嫁の件。あの方はその家へ見合いのつもりで行ったら、どうしたわけか大変じだらくな姿でその女が出て来て、「男を男と思わんようなの」がひどく気にさわって勿論オジャン。これはそれで結構です。堅い農家の娘さんを貰うためにこちらのお母さんもお気づかいです、本人もその気だからようございましょう。
あの奥の座敷のすぐとなりの売った地面に製材所が建ちかかっている由。前の鶏舎に朝鮮の人がうんとつまって住んでいる由。台所、事務所のあたりを人にかして、そこには別の一家が住んでいる由。野原もひどい変りようと想像されます。