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ごくちゅうへのてがみ
獄中への手紙
宮本 百合子
06 一九三九年(昭和十四年)
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 374,755 字 · 745 页
川端康成や何か、作品の部分部分でそういう点ではごく小さく或る追随をしつつ全体としてはそういうものと対立するものとして純文学を云って居り、そういう読書人間の要求もありますが、純文学というものが川端の火の枕(「雪国」)でなければならないのではなく、又所謂生活派でも(これは自然主義の一転形ですから)なければならないというのでもない。真の文学の発展、成長が、地理的拡大だけではなり立たないという微妙な真理はここにも反映して居り、文学をもって生涯の仕事としているものにとっての云いつくせぬ遺憾があるわけですね。この点については、なかなか面白い問題がふくまれています。
二十三日
今朝は三時四十分に多賀ちゃんを起し、多賀ちゃんが御飯の仕度してから二人の男連をおこしました。私が目醒し時計。お母さんはおきなくてはならないと思うと、よくお眠れにならないのですって。だから又例によって私がおこし役。私の可笑しい特色ね、こんなに眠りん坊のくせに、大抵おきなければならないとき目をさますというのは。どういうのかしら。かけねもなく、あなたにほめて頂いたのもやっぱりこういう目醒まし役でしたね。