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ごくちゅうへのてがみ
獄中への手紙
宮本 百合子
06 一九三九年(昭和十四年)
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 374,755 字 · 745 页
と云ったまではよかったが、いきなり立って、「サアどこがなっていない」とつめよられ、あとグーとなってその大芝居は女史の勝だったということあり、その例を反覆したのでしょうが、今度の対手は、性質のちがう人々だったので気合いが通らず。ああいう人々の経験主義が露骨に出ている。
ひさ、追々かえる時が近づくので、代りにたのんであった友達とはっきりした話したところ、どうもグラグラで駄目。先方の奥さんにうらまれることがあっては私も閉口故、やめと決定しました。改めて、誰か一緒に暮す人を考え中です。映画批評をやっていた筧さんという人が結婚して一年ほどで死なれ、その細君、赤ちゃんつれて今筧さんの親のところに(日本橋辺)います。細君は戸塚の家に暮していたことのあるひと、一緒に。もしかその人が来てもよいことになれば、うちに子供もいていいかもしれません。今日稲ちゃんに相談いたします。女中さんとしてではなく。一緒にいてくれる人として。
お工合はいかがでしょう。私は落付いて一生懸命に勉強していればよい、そう思って居ります。これから又本読み。勉強しながら、時々そーっとわきを見たいような心持になります、そして、どうお? とききたく。