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ごくちゅうへのてがみ
獄中への手紙
宮本 百合子
06 一九三九年(昭和十四年)
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 374,755 字 · 745 页
ここだけは値上げせず、特別が十銭です、やっぱり。
読んでその感想をいきなりこれにかきつづけてしまうと、又書く気がなくなってしまいますから、今日はそういうことは黙って居りましょう。弁護人との話、昨日いろいろおきまりになりましたか?
きのうの音楽会は自由学園の、音楽教育の父兄への売りこみのため、或は自由学園音楽団としていろいろの場合活動させ、マネキンとするために、成程こうするものかとおどろき、やがて正当な立腹を感じる種類のものでした。基本的なことは何も教えていない、只二十人三十人とかたまって、オーケストラのまねをやったりピアノでワグナーをひいたり、そしてそれは弾くのではなくて鳴らすのですが、音楽の感覚というものをちっとも滲透させていないのです。田舎の金持、自分はレコードはきくが、ピアノはひけないがピアノは買えるという親たちを、その数と一斉の音の鳴り出しでどきもをぬくことは充分出来るでしょうが。ヴァイオリン弾いている娘たちの、体勢さえちゃんと教えられていません。二百八十人だかが、あれだけの盛沢山で昼夜二回興業。大満員。純益は、あすこで北京に開いている女学校と東北農村セットルメントに捧げるのですって。