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ごくちゅうへのてがみ
獄中への手紙
宮本 百合子
06 一九三九年(昭和十四年)
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 374,755 字 · 745 页
さながら血液循環の如く、一滴もそとにはこぼさぬしくみです。なかなかそういう点にあやつられる親や娘の知性について感じることの多い会でした。つかれて、おしまいまでいず(音楽でない音のボリュームで、つかれるの)、寿江子とかえって来て、寿江子は又テクニックの上で不親切な教えかたと、フンガイして居りました。
ではこれから勉強。きのういろいろひっくりかえしていたら明治初年に日本に入って来た洋楽についての文献が見つかって、寿江子「ありがとう」の連発でした。この机と椅子、丁度家のと同じくらいです。これにフットストールがあれば相当の長時間ねばれますね。図書係の人がもととかわっていました。そして割合親切になっている。私の方がおばちゃんになったせいかしら。窓は高く、大きく、そとに楓の若葉の梢が見えます。
そう云えば、きのう、うちの門を入ったところの樫が一本枯れていたら新しいのと植え代えました。そして可笑しいことは(ひさの話)二人の植木屋がヒソヒソ小さい声で話しているので、じっときいていたら「かまやしない、かっぱらっちまえ」と云っている。「何をかっぱらうのでしょう、きっと林さんの何かでしょう」