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ごくちゅうへのてがみ
獄中への手紙
宮本 百合子
06 一九三九年(昭和十四年)
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 374,755 字 · 745 页
この人は、小さいこせこせした身辺小説はかきたくないというのはいいのだけれども、大きい題材をこなすだけの生活も勉強も足りないから、メロドラマに陥る。人間との心持もまだまだふみわけ入っていないところがあるし。大変なものですね。
いと子さん、私がおひるの仕度して台所にいたら、立って来て手つだってくれました。豆をむきながら、本の話などしました。上の娘は自然科学がすきで、理科をやりたいのですって。下のはヴァイオリンをやっている由。こういう母子三人の暮しぶりというものもいろいろに思いやられます。
夕飯まだ仕度出来ないうちに(昨夜の司厨長寿江子)若い女のひと三人どかどかと来て。人生の曙に立っている人たち故なかなかわかりたいことが多くてね。一人一人がやはり自分の問題をもっています、生活から。勉強をつづけて行くとしてどういう風にやるか、その他。結婚して通っている女の子もいます。家のことや何か率直に友達同士話しあっていて、面白いところがあります。「あら、もうかえりましょう、ね」などといいながら九時半までいました。
それから、早くたいておいたお風呂に入り。寿江子がくっついて来て、わきでフーフー云って洗いものをしていて、まるで、私まで、自分が洗濯もののような気がすると云って大笑いしました。