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ごくちゅうへのてがみ

獄中への手紙

宮本 百合子

06 一九三九年(昭和十四年)

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 374,755 字 · 745 页

青空文庫

「時代の鏡としての婦人作家」大きい題はこうね。黙りこんで、ひっこんで、ムシムシ仕事がしたい。勉強したい。そういう心持です。明治以来の日本文学の中で、婦人作家ののこしている足跡というものは小さく、まばらですが、実に独特に悲痛〔約五字不明〕もっていると思います。女のおかれている社会事情の〔約六字不明〕が実にてりかえしている意味で。ヨーロッパの婦人作家〔約五字不明〕りの通俗作家と数人の文学的作品の作家とを出しています、少くとも二十世紀に入ってからは。ところが日本では、女の通俗作家というものは吉屋など以前には一人も出ていず、皆、育ち切らない作文のようなしかも真面目な(主観的に)文学作品をつくろうとしていた(明治四十年以降)。ここにはやはりなかなか人生的に、そして社会的に日本の女のその時代と層とのありようの特殊さがあります。ものを書きうる女の層のせまさもあらわれていて。全く所謂中流的なものですから。そして、ものを書いて行ける才能そのもののために社会の歴史の歪みにひっぱりこまれた俊子のような華美な悲惨もある。この時代は複雑です。そして又面白い。この時代には女の入り乱れた跫音が響いている。