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ごくちゅうへのてがみ

獄中への手紙

宮本 百合子

06 一九三九年(昭和十四年)

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 374,755 字 · 745 页

青空文庫

単純にうしろもあり次の世代を意味することもあり。とかく詩人は気取った題をつけますね。

『タイムス』を見ると、このごろ女の人の生活をかいた本が幾冊か出て居ります。所謂有名婦人のメモアルなどではなく、例えば病弱者としての生活や何か。

咲枝もう大体よくなって、昨夜は十三日以来はじめて風呂を浴びてホクホクして居りました。

この間うちの颱風警報は皆の心持に作用して居りましたね。菊五郎が甲子園で野外劇をやった折も、そのために五万の人出が三万になった由。ユリは嵐が来たら龍になるとかいたりしましたが、あながち嵐なしでも龍になれそうですね。では月曜日に。どうかお大切にね。

九月三日 〔巣鴨拘置所の顕治宛 駒込林町より(封書)〕

九月三日  第八十五信

速達をありがとうございました。弁護士氏行きませんでしたって? じゃ私のみならず、さきでも何かごちゃまぜにした感じで間違えたのかしら。土曜日にでも行ったのではなかったでしょうか。御話の趣、よくわかりました。こちらからは何も申さずにおきましょう。夫人へきいてやること、手紙もう出しました。近々返事がありますでしょう。上京は十月に入ってからだそうですね。