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ごくちゅうへのてがみ
獄中への手紙
宮本 百合子
06 一九三九年(昭和十四年)
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 374,755 字 · 745 页
一生懸命にやっていると、ともかくそうやって、流されるのではなくて歩き出して来るから、それも面白うございますね。負けまいとして負けていたことにしろ、反面から表現すれば、押し流そうとするものの中で、とにかく一足一足自分の足で行こうとする、その努力に一杯ということなのだから。人生への態度として、去年の夏のことね、私がすこし微熱出したときのその対応法のこと、なかなか一つの点であると、よく思います。一人の人は、温泉に行って休養しろという。一人の人は、朝六時におきて八時迄に来い、毎日来るように、という。ねえ。後の方法で熱がとれ、生活の全般が一変化を来している。どうも面白い。こういう生きかたの力と美しさ。武者小路は一人合点の多い人ですが、人間が出来ることをするという丈が容易でないと「人生論」に云っているのは当っています。
それからね、そういうことと直接ではないが、間接に結びついていてこの頃感じるのは、子供との遊びかた。子供と遊んでいて、発展的な気分で遊ばせること、そのことは子供の発意を導くようにという表現で云われて来ているが、その発意の導きかたにも工夫の範囲で云われていることが多いのね。