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ごくちゅうへのてがみ
獄中への手紙
宮本 百合子
06 一九三九年(昭和十四年)
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 374,755 字 · 745 页
開成山ゆきはおやめにしました。
浜松夫人からの返事どうしたのでしょうね、まだです。一日の速達頂いてすぐ出したのですが。よっぽどわるいのかしら。ごたついているのかしら。様子わからず、又つづけて出すのもどうかと思われるし。何とか考えてみましょう。
目白へは十二日にかえります。どっちみち、おミヤさんを留守番としてたのんで居られない事情になりましたから。そして何とか手段を講じて誰かを見つけます、一緒にいるための人。人のないことおびただしくて、お話のほかです。困たものです。私の場合はぜいたくでも何でもないわけですから。
寿江子たち十五六日ごろにはかえって来るでしょう。
もうそろそろ出かける仕度をしなければならない時間になって来てしまった。では明日。あなたの表現では、夏向きに余白をのこしてとかかれているのをよみましたけれど、きょうのは何かしら。
ああ、でも何だかいやですね、白いところのどっさりのこっている手紙など。「雨が降ると龍になる。降らなくても龍になった」の物語、お思い当りになりましたろうか。語呂は下手に出来ていても心持はなかなか活々した小さい話でしょう。