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ごくちゅうへのてがみ

獄中への手紙

宮本 百合子

06 一九三九年(昭和十四年)

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 374,755 字 · 745 页

青空文庫

読書、本当にヨタヨタ歩きの態ですが、どうぞ御辛棒願います。今のところ。岩波文庫のものや何か、いつか云っていらしたのは読みました(他五篇)。もと読んだの、何を、この間オイゲン先生。ここでひかえているのは大部な哲学です。でも、今のをどうやら渡河してしまえば哲学は近いように感じられます。私はこういう種類の読書はずーっとずーっとつづけるつもりです。深く感じるところあり、ですから。その点でも、のそのそしたりいろいろですが、やっぱり、追々身について来ている一つの感覚なのです。

キュリー夫人のこと、ありがとう。それは分っていました。私は先方からそう云っているままには扱いませんでした。そういう意味のヒロイズムでなく、人間が科学の発見で、よりよいことをこの世にもたらそうとするその考えに立って科学の力を、殺す力としてより生かす力としてつかおうとした点にふれました。あの特許をとるかとらぬかというようなときの夫婦の相談、そんなものとピエールがドルフェスのときは熱中したという無辜のものを支持する心、そんな点です。

「メチニコフ」へのお礼承知いたしました。私は「北極飛行」は知りません。