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ごくちゅうへのてがみ
獄中への手紙
宮本 百合子
06 一九三九年(昭和十四年)
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 374,755 字 · 745 页
という映画の主題歌をたどたどしく弾いて居るのが聞えます。この辺の家々は女中さん一人はいるが主婦がエプロン姿で台所その他に働いて、だが買いものに出るときは羽織着かえてゆくという工合なの。あっちこっちで石炭をはこびこんだり木炭をはこびこんだりしているのを見ます。
うちの門の扉ったらどういうトンマでしょう、雨が降ったら木が曲りでもしたのかあかなくなってしまったのではずしてしまいました。夜ははめて錠をかけるの。滑稽ですが腹が立ちますね。直させなければ。カラカラとあける車がわるいか何かなのです。
きょう、いつぞや云っていた『新潮』の写真台紙に貼りつけました、明日送り出します。何という題にしましょうか、茶の間の百合子それでいいでしょう。台紙が大きいけれど、小さいのに入れたら大きい体に小さい枠がつかえるようでいかにもキュークツなので枠なしののーのーしたのにいたしました。伊藤という人が撮ったのです。木村伊兵衛という肖像の一城の主があってそのひとのグループに属している風でした。芝写真館の台紙ですが、それは台紙だけのものです。そちらへ送りたいと思って焼ましをして貰ったら効果がちがうのです、それで第一のときのをお送りいたしました。