轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

ごくちゅうへのてがみ

獄中への手紙

宮本 百合子

06 一九三九年(昭和十四年)

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 374,755 字 · 745 页

青空文庫

にその梢の影の頂を落します。池の水はひそかな渦をそこに巻いていて、その樫の梢にふれられたとき、音なくしかも深い深いおどろきとよろこびで揺れます。渦は猶無心にまきつづけ梢は猶影をふれ、日と夜とは自然の緊張した静謐に満たされて、その微妙な調和の世界へ迷いこんだものは、一種のぼんやりした恐怖を感じるくらいです。あたりには、よろこびが正に何かに転じようとする際の音ない高鳴りに満ちている。そういうところが描かれていて、ユリは感動しつつくりかえしくりかえし読みます。そしてね、自分のかくユリという字と、ここの薄く黄色い紙の上にかかれているユリという字とを永く見くらべます。このあとのに、何という感覚がこもっているでしょう、目のなかに涙を湧かせるようなものが。

私はあなたの方の詩集についての話もきかせて頂きとうございます。でもそれには紙が狭いのね、そうでしょう? 読むいろんなものについて書くほどの、せきはないのでしょう。そうね。

詩集はもう一つ二つあって、この間から随分かきたかったのです。でも、そちらはどんなかと思っていたところだったから。これから又折々かいていいでしょう? 詩の話は、やはり小説のモティーフを豊富にするものですもの。