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ごくちゅうへのてがみ
獄中への手紙
宮本 百合子
10 一九四三年(昭和十八年)
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 215,557 字 · 426 页
私は幸東京に生れた家があるのだから、その点はより便宜に円滑に処して行かれるでしょうと考えます。其故どうかその点御安心下さい。自分で本が買えないときにはいい本を買う友達のいるところというのも大した価値があるのだし、勉強によっては図書館も大切だし。私は大体これ迄島田にいる間は限られた時なのですから、仕事は殆どしないで暮したし、勉強らしいこともしなかったし、ですから私の本当の暮しぶりはどなたも御存じなく、調和的な面白いきさくなもの知りなユリ子はんに過ぎないのよ。そして、ちょいと強情らしい、ね、私が困ったらとお思い下さるとき、すぐ島田と結びつくのは本当に自然だと思いますけれど、私にすると、女としての自分をよく知っているから、環境的に或は習俗的に息苦しく恐怖するのです。妙なものね、でもこれは本能的につよいものであり、女に附随した一つの保護的警戒力みたいなもので、そのことにも生活習俗や文化の分裂が反映されているわけです、つまり婦人委員会というものが必要だった所以ね。それに、私はよく思ってほほ笑まれて来るのだけれど、あなたは御自分の心のスケールであちらをお考えになりやすいのね、私を包括していて下さるスケールと深さが大変ゆったりと大きいから、私はブランカで、全くかさばらないものなのだけれど、普通の心や精神の可能の面に立つ