轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
ごくちゅうへのてがみ
獄中への手紙
宮本 百合子
10 一九四三年(昭和十八年)
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 215,557 字 · 426 页
惜しいことは実に惜しい。けれども明日のイタリーの人たちのためには果してどうでしょう。イタリーは過去の栄光が巨大すぎ、食いつくせない遺産の上に立って居て、ルネサンス以降現代迄が芸術上新しい宝を生む力を萎靡させていた大きな衰弱を自覚しませんでした。一九四一年に又もやレオナルド展が世界巡業を行ったことは、不滅というよりも「さまよえるダッチマン」のオペラ式で、おおレオナルドをして安らかに眠らしめよと、シェークスピアなら科白にかくべきところでした。多くのものが失われ、それを灰燼に帰した暴力は世紀の恥辱ですが、イタリーそのものについては、あんまりたっぷりした祖先の財産からすこし解放され、御家宝拝見料で食わなくなる方が将来清新な、その時代のイタリーの建設にふさわしい芸術が開花するかもしれません。少くともイタリーのひとが本当に自分の国の誇りについて考えたとき、そういう勇気にふるい立つ筈でしょう。
この手紙の一銭の切手は、なかなかいじらしいでしょう、日本の切手に女の働き姿が現れた恐らく嚆矢ではないでしょうか。
ノイザールという私の薬、これからも買えそうでうれしゅうございます、利くから。