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ごくちゅうへのてがみ
獄中への手紙
宮本 百合子
10 一九四三年(昭和十八年)
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 215,557 字 · 426 页
ほんのいくらか丈夫になりほんのいくらかものを学び、しかもその間にあなたは生き死にの病気をなさり、何と多事でとぶような一年でしたろう。森長さんの電話しました。この手紙しまいをせいてしまっているのよ、いま手伝いが只一人でおかみさん外出、晩のおかずをこしらえなくてはいけないの、では明後日。
十二月十八日 〔巣鴨拘置所の顕治宛 駒込林町より(封書)〕
十二月十八日
きょうは静かなおだやかな午後です。島田へお送りするものもすんだし、そちらの宿題も大体さし当りは足りましたし、メタボリンは来たし、久々でゆっくりした気持です。疲れが出ていて、体がすこし持ちにくいからきょうはずっと二階へとじこもりで暮しましょう。
七日、九日、十六日のお手紙。どれもありがとう。この間うちは本当に御免なさい。私の場合は、善意がないなどということはあり得ないのよ。善意があるのに云々ということになり、ないも同じことではないかというところにお小言も当然という事態があったのでした。しかし、これ迄十年の間に、へまやケロリで、三年に一度は随分猛烈に突風を食って来ているわけですが、今度は私としておのずから学ぶところが少くありませんでした。