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ごくちゅうへのてがみ
獄中への手紙
宮本 百合子
10 一九四三年(昭和十八年)
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 215,557 字 · 426 页
びっくりしてしまった、本やが変ったのには。東京堂は、ぐるりの本棚ね、あすこへよりつけないように台を並べてしまって台の上には、謂わば先方の売りたいものを並べておくという工合になって居ります。棚が遠いから私の眼では題もよめないの。六法は、ここでも冨山房でも三省堂でも神保町の方の角でももう売切れです。困ったと思います、これからは森長さんが買うとき二部買ってでもおいて貰うのね、ああいう人には専門の本やがあるのでしょうから。買いつけの本やへきいて見ましょう、丸山町のところのもとの本やは、もう出入りしないのよ、会社へ何かへまとめてゆくのですって。人手がないからと云って。もう目白にいた時分から。予約ものを中途半端にしたりしてすこしけしからぬことになりました。そこで、アメリカ発達史の下巻を見つけました。下がいきなりでは仕方がないことね、上を見つけましょう、お送りするのは其からね。
須田町辺のこみかたは全くひどく蜒々長蛇の列です。もとのように自動車でもいたら人死にですね、すっかりへこたれて、本買いも大したことになったとおどろきました。
来週は月水金とあがります。今年の迅さは、無常迅速的でした。