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ごくちゅうへのてがみ
獄中への手紙
宮本 百合子
01 一九三四年(昭和九年)
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 14,990 字 · 30 页
引越し通知のハガキはもう御覧になって居るでしょう? あれも壺井さん夫婦が世話をやいてくれたのです。お正月のハガキもやってくれるそうです。私たちの結婚通知の印刷物以来の恒例だからやってくれたのですって。――原泉夫妻[自注18]は四谷の大木戸ハウスというアパートで細君はトムさん[自注19]の新協劇団第一回公演では「夜明け前」に巡礼をやり、今やっているゴーゴリの芝居では何をやっているか、旦那さんの方はきっと徹夜して小説かいてるでしょう。今夜見物する予定でしたが叔父様をお送りしたからやめになりました。
この近所には千葉で三年ばかり暮すことになった山田さんの奥さん[自注20]もいるし、河野さくらさん[自注21]が留守中のひとり暮しをして居ります。
ところでお読みになる本について、私ははっきりしたお手紙を見るまで自分の考えで入れるしかないのですが、文学に関する本では少し古典と現代の諸潮流の作品とを系統たてて読んで御覧になりませんか。あなたが三日にまだプランをもっていらっしゃらなかったのは私には自然に感じられたし決して意外ではありませんでした。私の文学的ウンチクを示すようにいい順で一つよませて上げたいと考えて居ります。