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「さんごしゅう」かいせつ
「珊瑚集」解説
佐藤 春夫
「珊瑚集」岩波文庫、岩波書店 1938(昭和13)年9月1日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 2,636 字 · 6 页
のうちで伝えておられる――「……ボードレエルは偉大なる詩人にしてまた偉大なる芸術家であったがしかし純粋なる詩人であったとは言われないと論じて暗にボードレエルを抑えてヴ※ルレエンを揚げている。これに由って見ればモレアスは詞芸に巧みなるよりも、また思想の深遠ならんよりも感情の純白なる事を以て詩人の本領となしたものらしく思われる」と、この詩人観はその語気文勢を察するにまた、先生の同感されるところであるらしい。先生もヂィド、モレアス二家と同じくボードレエルは年少の頃特に傾倒されたものかこれに共鳴する作風の短篇を多く見せられたが、やがて短篇「妾宅」ぐらいを最後にして後年は見かけなくなった。これに代って後年には温雅哀婉なレニェエが詩趣に通う作を多く示されているように拝する。――かの詩人の感化とよりは自然の勢であろうが。
また「訳詩について」の文中、先生は「戦後わたくしが繙いた新しい仏蘭西の詩集はアポリネール、ヴァレリイ、ジュル・ロマンその他二三家の集に過ぎない」と言われまた「しかしわたくしは泰西の新詩を読むことを全く廃してしまったわけではない。唯系統を追って読むことを懈っているのみで、目に触れるものは随意にこれを漫読していることは過ぎし日と更にかわりはない」