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げんだいにんじゅつでん
現代忍術伝
「講談倶楽部 第一巻第八号~第二巻第三号」1949(昭和24)年8月1日~1950(昭和25)年3月1日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 76,446 字 · 155 页
すくなくとも、魔力なくして為しとげられぬ仕事である。然し、その瞬間における仕事とは、編輯の仕事の意味ではなかったのである。
過去の物みなが没落する。老人は枕を並べて没落する。然し、オレだけが、さからってみせる。負けてたまるか、という意味なのである。けだし悲愴とは、このことであろう。
厳然たる歴史にさからってみせてやる、というのであるから、容易ならぬ話である。
思うに、この就職の瞬間に於ける胴ぶるいと覚悟の中には、自らも野武士となって一戦又再戦を辞せず、悪鬼妖怪となっても勝たざるべからず、大学生とは倶に天をいたゞかず、というほどの意味がこもっていたのかも知れなかった。然し、勝つべきようには思われない。胴ぶるいなどというものは、それが武者ぶるいであるにしても、ちょッと哀れなものである。彼の胸の思いは切なかった。
その二 白河半平深謀遠慮のこと
翌日新装に身をかためて出社すると、ほかの部屋にはまだ人影がなく、書房の編輯室にだけ、白河半平が二人の女の子を指揮して、お弁当や、オミヤゲの包みをつくらせている。よほど早くから来ていたらしい。勤勉なものである。